米大統領「プーチン氏がウクライナ侵攻決断と確信」
【ワシントン=坂口幸裕】バイデン米大統領は18日、ホワイトハウスで緊迫するウクライナ情勢について演説した。ロシアのプーチン大統領がウクライナへの侵攻を決めたかどうかを記者団に問われ「現時点で彼が決断したと確信している」と述べた。一方で「ロシアはまだ外交を選択できる。緊張緩和のため交渉のテーブルに戻るのは今からでも遅くない」とも呼びかけた。
演説では「ロシア軍が数日以内にウクライナを攻撃しようとしていると信じる理由がある。標的はウクライナの首都キエフだろう」と明言した。ウクライナ国境での軍増強に加え、ロシアが侵攻の口実にする偽装工作が増えている現状に触れ「米国と同盟国・有志国が何週間も前から警告してきたシナリオとも一致している」と指摘した。
バイデン氏はブリンケン米国務長官とロシアのラブロフ外相が24日に会談すると明らかにした。「侵攻するまではずっと外交の可能性がある」と訴えた。
米軍のウクライナ派遣を改めて否定する一方、同国に欧州の同盟国・有志国と防衛力強化などの支援を継続すると強調した。ロシアがウクライナへの攻撃に核兵器を使用することはないとの見方を示した。
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米欧はロシアが侵攻すればただちに大規模な金融・経済制裁に踏み切る構えだ。バイデン氏は「我々はロシアに行動の責任を取らせる。西側は団結し、厳しい制裁を科す用意がある」と警告した。
具体策としてロシアの主要銀行によるドル取引停止や主要産業にかかわるハイテク製品の輸出規制のほか、ドイツとロシアを結ぶ新たなガスパイプライン計画「ノルドストリーム2」の稼働停止でも米欧は足並みをそろえる。
銀行間の国際的な決済ネットワークである国際銀行間通信協会(SWIFT)からロシアを排除する案をめぐっては、侵攻直後のメニューには含めない見通しになった。ロシアとの結びつきが強い欧州を中心に経済への影響が大きいためだ。
米ホワイトハウスのシン大統領副補佐官は18日の記者会見で、SWIFTからの排除に関して「選択肢に残っているが、最初の制裁パッケージには入らないだろう」と述べた。今後の検討課題と位置づけ、再考する可能性に含みを残した。
バイデン氏は18日、英国のジョンソン首相、ドイツのショルツ首相らと電話協議し、制裁を含む対ロ政策での結束を申し合わせた。ロシアによる軍備増強への懸念を共有し、緊張緩和のための外交を継続する方針を改めて確認した。ロシアの脅威に対抗するため、北大西洋条約機構(NATO)に加盟する東欧諸国の防衛強化も協議した。
2022年2月、ロシアがウクライナに侵略しました。戦況や世界各国の動き、マーケット・ビジネスへの影響など、関連する最新ニュースと解説をまとめました。